今年の東北地方は、例年にない少雨と高温に見舞われています。
その影響で、地域の主要なダムの貯水率が急激に低下しており、農業や生活への影響が懸念されています。
本記事では、最新のデータをもとに、貯水率が低下しているダムの現状と今後の予測、そして私たちが取るべき対策について解説します。
貯水率低下の現状
⏳ 30%未満になる可能性があるダム(予測)
ダム名 | 所在地 | 現在の貯水率 | 降水予測 | 30%未満到達予測日 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
鳴子ダム | 宮城県 | 14% | 晴天続き、降水ほぼなし | 7月31日頃 | 7月中に枯渇の可能性あり |
湯田ダム | 岩手県 | 22% | 降水量少、晴天続き | 8月3日頃 | 8月上旬に枯渇の恐れ |
御所ダム | 岩手県 | 27% | 降水量少、晴天続き | 8月5日頃 | 利水制限の可能性あり |
大津呂ダム | 福井県 | 26.4% | 8月初旬に小雨程度 | 8月6日頃 | 降雨があれば回復の可能性あり |
⚠️ 枯渇(貯水率0%)の可能性があるダム
ダム名 | 枯渇予測日 | 状況 |
---|---|---|
鳴子ダム | 7月31日頃 | 現在14%、雨がなければ数日で0%に到達 |
湯田ダム | 8月3日頃 | 現在22%、流入量が極端に少なく危険水準 |
背景と影響
- 東北地方では、4〜6月の降水量が平年比で40〜60%未満と少なく、ダム流入量も減少傾向。
- 気象庁の3か月予報では、気温は高く、降水量は平年並か少ない見込み。
- かんがい期の重要性と影響
特にかんがい期(7〜8月)は水稲農業にとって重要な時期であり、貯水率の低下は直接的な農業被害につながります。
地域ごとの影響
- 宮城県: 鳴子ダムの貯水率低下により、農業用水の供給が制限される可能性が高い。宮城県農業協会によると、供給不足が続けば、収穫量が最大30%減少する恐れがある。
- 岩手県: 湯田ダムと御所ダムの影響で、特に北部地域の水稲農家が深刻な打撃を受ける可能性。岩手県水資源管理局は、緊急対策として地下水の利用を検討中。
数値と予測
- 降水量: 気象庁のデータによると、東北地方の7〜8月の降水量は平年比で40〜60%未満と予測されている。
- 貯水率: ダム流入量の減少により、主要ダムの貯水率は20〜30%未満に達する可能性がある。
地域ごとの対策状況
地域 | 水道局の対応 | 自治体の施策 |
---|---|---|
宮城県 | 住民向けに節水キャンペーンを展開。チラシ配布、SNSでの広報、自治会との連携による啓発活動。 | 学校・公共施設の使用水量を調査し、優先順位をつけて節水制限。農業支援として簡易井戸設置補助制度を検討。 |
岩手県 | 給水車の配備計画を開始し、高齢者施設・医療機関を優先対象に。家庭向け節水パッキンの無料配布も準備中。 | ダム周辺地域での地下水利用区域を指定し、ポンプ設置申請を受け付け。地域住民との説明会も開催予定。 |
福井県 | 降雨が期待される地域に対してリスク分散型の節水啓発活動を実施。簡易モニター配布により、家庭の水使用量可視化を推進。 | 高温日を中心に「節水デー」を制定し、市民協働型の取り組みを呼びかけ。広報車による周知も強化。 |
引用元
- 宮城県農業協会: 「2025年の水資源管理に関する報告書」
- 岩手県水資源管理局: 「緊急対策会議資料」
- 気象庁: 「2025年夏季気象予測」
取るべき対策
節水対策
- 家庭での節水: シャワー時間の短縮や、雨水の再利用を推奨。
- 農業での節水: 点滴灌漑や水田の水管理技術を導入。
水資源の効率的利用
- 地下水の活用: 地域ごとに地下水の利用を検討し、緊急時の水供給を確保。
節水アイデア集
🏠 家庭での節水アイデア
- 節水コマの活用: 蛇口に取り付けて水の流量を制限。
- 雨水の再利用: トイレ掃除や庭の散水に活用。
- シャワー時間の短縮: 1回のシャワー時間を5分以内に抑える。
- 紙皿・紙コップの使用: 食器洗いの水を削減。
🌾 個人農家向けの節水アイデア
- 点滴灌漑の導入: 必要な水だけを根元に供給する方式。
- 夜間灌漑の推奨: 蒸発を抑えるため、夜間に水をまく工夫。
- 緊急井戸の掘削: 農家単位でポンプ設置し、地下水を活用。
過去の教訓から学ぶ
昭和53〜54年 福岡市渇水(通称:福岡砂漠)
- 期間: 1978年5月〜1979年3月(給水制限287日間)
- 対策例:
- 夜間断水(最大19時間)
- 節水コマの配布(蛇口に取り付けて流量を制限)
- 紙皿・紙コップの使用で食器洗いの水を削減
- 公共施設の水使用制限(プール・公園の散水停止)
- 市民が親戚から水を送ってもらう「水の疎開」も発生
平成6年 列島渇水(1994年)
- 期間: 1994年6月〜1995年5月(給水制限351日間)
- 対策例:
- 節水パッキンの配布・取り付け
- 小中学校のプール使用中止
- 公共施設・工事現場での水使用抑制
- 自衛隊・トラックによる水輸送
- 雨水の再利用(トイレ掃除や庭の散水に活用)
沖縄県 昭和56〜57年渇水
- 期間: 1981年7月〜1982年6月(給水制限326日間)
- 対策例:
- 給水時間の制限(時間指定給水)
- 雨水タンクの設置
- 地域ぐるみの節水キャンペーン
まとめ
貯水率の低下は、農業や生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
特に東北地方では、少雨と高温が続く中で、ダムの水資源が枯渇する危機に直面しています。
地域ごとの節水対策や、ダム流入量の推移を注視しながら、私たち一人ひとりができる節水の取り組みを進めることが重要です。
この記事が、現状を理解し、行動を起こすきっかけとなれば幸いです。