家庭環境

働く時間を増やしても収入は増えにくい事実

2020年10月7日

教育費や食費などの生活費

子供がいると成長とともにお金の心配をしなければならなくなりますよね。

この記事は現在世帯年収が350~450万ほどの子育て世帯の方へ向けて

私の実体験をふまえながら執筆していきます。

もしあなたが夫婦で共働きをして今後のさまざまな出費に対応しようと考えているなら

注意しておくべきことがありますので、ぜひご覧ください。

残業を増やしてもそのまま収入増とはならない?

そんなはずはない

そう思った方は注意が必要です。

確かに同じ年の間は残業代はそのまま収入増につながりますが…

収入が増えれば増えるほど翌年から増えてしまう支出があります。

収入が増えることに応じて支払いが増えるもの

  • 所得税
  • 社会保険料
  • 住民税
  • 公営住宅の家賃

支払う金額の計算をややこしくする原因

給与収入が増えた金額に対して約14%が税金などで減ってしまうと言われています。

いったい14%もの金額はどのように消えてしまうのか…?

所得税も社会保険料もさまざまな数字と関連し計算されています。

平均的なサラリーマンの年収ほどの 年収450万の場合 の所得税をみる

所得税を求めるために必要な計算がいくつもあり、そのなかで必要な項目は次の3つです。

  • 給与所得控除
  • 社会保険料
  • 基礎控除額

さらに…様々な条件によって増減するので、計算をするためには細かく前提条件を設定しなければいけません。

扶養しているか?

扶養されている人の年間所得はどの程度か?

何人扶養しているか?

子供はいるか?何歳か?

などなど。この条件により、課税所得の金額から差し引ける控除額が大きく変化します。

今回は35歳の夫とその扶養に入っている妻、パートをしていて毎月の収入が7万×12か月で84万の給与収入(所得29万)、16歳未満の子供が2人という前提条件で計算してみます。

配偶者を扶養している場合、上記の3つに加え配偶者控除がうけられます。

給与所得控除

国税庁 給与所得控除より

給与収入が 360万円超660万円以下  であれば 収入金額×20%+44万円 が適用となり

年収450万円の場合の給与控除金額は 約 134万円 になります。

社会保険料

社会保険料には健康保険、雇用保険料、厚生年金保険料、介護保険料、労災保険料(全額会社負担)があります。

労災保険料だけ全額会社負担となっていることに疑問を持った方もいらっしゃるかと思いますが

労災保険料と雇用保険料以外の各保険料は会社側が50%負担し、残りの50%が給与から天引きされています。

労災保険料と雇用保険料以外

  各保険料の金額 = 平均月額標準報酬 30万 × 保険料率 ÷ 2(50%は会社負担の為) で求められます。

年2回の賞与があればさらに賞与に対しても保険料が発生します。(今回は年収450万、月30万、賞与45万×2とします)

  賞与時の保険料の金額 = 平均賞与報酬 45万 × 保険料率 ÷ 2

雇用保険料 = 年収450万 × 雇用保険料率(労働者負担) 

各保険料率は?

健康保険料率 … 都道府県ごとに異なる(私の出身地は9.77%) または 健康保険組合ごと

厚生年金保険料率 … 18.3%

雇用保険料率 … 労働者負担は 0.3% ~ 0.4% (会社側負担は 0.6% ~ 0.8%)

介護保険料率 … 1.79% (40歳~64歳)

※ 令和2年3月時点での利率

社会保険料額は?

年収450万で上記の式にあてはめて計算すると

年間で約64万円になります。

基礎控除額

基礎控除額は一律で 48万円 となっています。(令和2年~)

配偶者控除額

配偶者を扶養に入れているならば収入(所得)に応じて控除を受けることができます。

今回の条件だと控除金額は38万円になります。

詳しく確認したいかたはコチラ↓のサイトがわかりやすいので理解がふかまりますよ!

さらに詳しく

児童手当をもらうと所得税は増えるのか?

収入が増えると所得が増えるから、児童手当をもらうと所得税も増えてしまうのでは?と思った方もいるでしょう。

でも安心してください。

児童手当は収入ではあるものの非課税の収入となりますので、所得税が増えることはありません。

結局…年収450万の所得税は?

所得税速算

上記の項目を一つ一つ計算するのは手間ですよね?

インターネット上ではこの計算を自動でしてくれるツールがいくつかありますので、利用してみるのもいいでしょう。

今回私も利用し参考金額を割り出しています。

税金計算機を使って自分の所得税を計算してみる←登録等なしで無料で利用できます!

厳密にいうと健康保険料率や雇用保険料率が各自で異なりますし、年齢によって介護保険料率が加算されるので正確とは言えませんが

結果からいうと年間で 円 の税金が課せられます。

まず上記の式を利用し課税所得を求めます。

年収450万 - 134万(給与所得控除) - 64万(社会保険料控除) - 48万(基礎控除) - 38万(配偶者控除)

= 166万(課税対象所得)

そしてこの課税所得に対して過累進課税方式で課税されます。

204万円ですので

〜195万円 税率5% ⇒ 166万円×5%=8.3万円

83,000円 が年間の所得税となります。

文字や数式だけではわかりにくいかと思いますので、課税所得 1,000円 ~ 900万円 まで段階に応じてどのように増額されるのかを

こちらにまとめました → 課税所得から自身の所得税を一覧表で確認!

仮に毎月1万残業で稼いでも…

年収462万円になるとどうなるでしょうか?

この場合、給与控除、基礎控除はそのままですが、社会保険料が約2万円高くなります。

さらに課税所得が166万円から173.6万円に増えるので、所得税も0.5万円増えます。

12万円増えたはずなのに、社会保険料と所得税だけで約2.5万手取りは減るんですよね…

収入が増えると住民税も増える

所得税が増えるほかにさらに住民税も増えます。

細かい計算方法はありますが、大まかに課税所得の10%が年間の住民税と考えてよいでしょう。

単純に課税所得が7.6万増えた上記の例だと住民税も0.76万増え、その分手取りは減ってしまいます。

公営住宅費も収入に応じて変動する

変動はしますが、月1万収入が増えただけではさほど影響がない場合が多いと思います。

公営住宅費がもっとも変動する可能性があるのは

子供がバイトをし始めたときや、配偶者が勤め先を変え、給料が増えたとき、

もっとも影響が大きいのは配偶者がフルタイムで仕事を始めたときです。

メインの内容とは離れますが、もともとフルタイムで仕事をしていない配偶者がフルタイムで働くと起きる変化一覧

働き始めた年は一時的に収入が増えるが、翌年からの出費が増える(下記の例は月16万、年収192万の場合)

  • 配偶者控除(最大38万円の控除、所得税は2.3万増加)が受けられなくなる→所得税が増える
  • 配偶者に住民税(年間約5.8万)の支払が発生する
  • 配偶者の社会保険料の支払が増える
  • 場合によっては夫の給料に上乗せされていた家族手当が減る(私の場合1.2万減り、年間14.4万減りました)
  • 世帯年収が増加し、公営住宅に住んでいる場合、家賃が増加する
  • 家族と過ごす時間は確実に減る

配偶者自身が社会保険料を支払うことで、老後の厚生年金の受給が出来るようになることや、健康保険料と雇用保険料なども会社側と折半しての支払になる為、保証が厚くなるとはいえます。

しかしながら、少子高齢化に伴い、現在の子育て世帯が現役を引退するころ、いったい支払った分の何%が支給されるのかは不透明です。

またあたりまえですけど、配偶者がフルタイムで仕事を始めた時期によっても、年間の世帯収入は変わります。

1月からフルタイムなのか、4月からなのか、8月からなのか

1月からであれば翌年からしっかりと年収もフルタイム相応になりますが、フルタイム期間が半端だと2年間かけて(1年単位で)支払が増加します。

私の住んでいた市営住宅は2年間で毎月の支払が2.5万円も高くなりました。年間で30万円の支払が増加…

配偶者がフルタイムで仕事をして、実際に年収は増えるには増えますが…

月7万円→月16万円になったとして、年収が84万円→192万円になり、108万円も増えたように見えるのは錯覚で、

住民税、社会保険料、家族手当の減額、家賃の増加によって、実際には108万円増えることにはなりません。

我が家の場合、最終的に年間での収支は+の40万程度にしかならず、時間の安売りをしているような状況になっていました。

年収の集計は1月から?4月から?いつから変動する?

社会保険料の支払い基準の集計期間

社会保険料は特殊なので最初に紹介しておきます。

社会保険料は年収から算出されているわけではありません。

社会保険料は毎年の4月~6月の収入をもとに決定されています。

そして主に毎年9月、場合によっては10月から新しい基準で徴収されます。

私が参考にした記事を紹介しますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください → 手続きらぼ さんの 社会保険料変更時期タイミングは9月?

もし年度が替わった直後のこの3カ月が毎年残業も多くて忙しい業種であれば、

比較的に割高の社会保険料を支払っていると言えるでしょう。

しかしながら、社会保険料を多く支払っている分、所得控除も増えるので

4~6月は休めないほど忙しく、残業も労基にひっかかるような状態でなければさほど影響はないかと。

所得税支払い基準の集計期間

所得税は毎年の1月~12月の収入をもとに計算されます。

特徴としては今年の徴収額は毎月計算されているということです。

住民税支払い基準の集計期間

住民税は前年の1月~12月の収入をもとに計算されます。

前年の収入実績で変化し、1月1日時点での住所地の自治体から課税となります。

働く時間を増やしても収入は増えにくい事実のまとめ

今回は割愛していますが、配偶者の収入においてはさまざまな壁があり、

その壁は今回の記事で触れた控除や税金が大きく関係しています。

知っているのと知らないのとでは雲泥の差ですからね。

労働力を提供し、その対価として給料をもらう。

その延長で残業し、残業代で稼ぐという考え方ではなかなか収入は増えません。

残業ばかりしているて、自己の研鑚を怠っていると

自分自身の1時間、1日、1年の価値は会社にゆだねられてしまいます。

作業をこなして目先の利益(給料)を得るだけでなく

今現在の収入をどのようにして増やしていくか

また支出をどのようにコントロールしていくか

子育て世帯の方は、しっかりと夫婦で相談し決めた方がいいですよ!

少子高齢化に伴い、必ず人手は不足していきます。

人手の不足を残業で補おうとしている会社に勤めているのであれば要注意です。

時間には限りがあるので、自分の時間、家族との時間のバランスを考えながら

より効率的に収入を得られるようになるための行動を!

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